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気候変動・環境保全

めぶきフィナンシャルグループは、地域に密着した総合金融グループとして、めぐみ豊かで美しい自然環境を維持し、健全な「環境」を未来につなげるため、緑化・環境関連事業への支援や環境配慮型商品の提供、環境に配慮した店舗づくり、森林保全基金への寄付、従業員による森林植樹・整備活動などを行っています。

環境保全への取り組み

めぶきフィナンシャルグループでは、企業活動の基本方針である「企業倫理」において環境問題への取り組み姿勢について示し、グループ会社を通じて環境保全活動に積極的に取り組んでいます。

(めぶきフィナンシャルグループの企業倫理第10条より)
「地球環境や社会情勢の変化等への耐性の高いサステナブルな環境・社会の構築に向け、主体的に行動します。」

グループ環境方針

めぶきフィナンシャルグループでは、気候変動への対応、自然資本および生物多様性の保全・回復への取り組みなど、地球環境を保全しつつ自然との共生により経済の活性化を図っていくことが、社会の持続性を高めるために必要であると考え、「グループ環境方針」を定めています。気候変動への対応は、地球環境に係る重要な課題であると認識し、自らの企業活動における環境負荷の低減に努めるとともに、地域における脱炭素化への取り組み支援を進めています。

イニシアチブへの賛同・参画

当社グループは、気候変動対応・環境保全を含むサステナビリティに関連する取り組みを加速させるためには、国際機関、政府、企業などと連携することが重要であると考え、イニシアチブへの積極的な賛同・参画に努めています。

外部評価

当社グループにおけるCO2排出量削減をはじめとする気候変動への取り組みについて、国際環境非営利団体であるCDPより、前年度を2ノッチ上回る「B」評価を取得(2023年度)しました。

気候変動への対応

TCFD/TNFD提言への取り組み

経済の発展は生活や教育などの社会条件によって成り立ち、社会は自然環境によって支えられており、持続可能な地域社会の実現ならびに地域社会および当社グループの持続的な発展は、環境の維持・保全が大前提となります。
当社グループは、気候変動・環境保全への対応を、事業戦略上、重要なファクターの一つであると認識し、2021年3月にTCFD提言、2024年1月にTNFD提言への賛同を表明しました。
今後も、自らの企業活動における環境負荷の低減に努めるとともに、環境保全に寄与するサービスの提供やサプライチェーンへの働きかけなど、事業活動を通じた環境保全への取り組みを強化していきます。
また、TCFD・TNFD提言に基づく積極的な情報開示を通じてステークホルダーとのエンゲージメントの充実を進めていきます。

ガバナンス

方針の制定

気候変動を含むサステナビリティ※への取り組みを一層強化するため、「グループサステナビリティ方針」「グループ環境方針」「環境・社会に配慮した投融資方針」「調達・購買ガイドライン」等を制定し、経営の重要事項として各方針に基づき業務運営をしています。

※当社グループの持続的な成長と地域の環境・社会課題の解決の両立

取締役会による監督体制

気候変動を含むサステナビリティに関する取り組みの策定・進捗を一元的に管理できる体制を整備するため、取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、半年に1回以上の頻度で開催しています。
また、取締役会は、サステナビリティ委員会における審議内容等に関し、都度報告を求め、必要に応じ同委員会への指示を行うなど、当社グループの取り組みを監督する態勢を構築しています。なお、サステナビリティに関する重要事項は、取締役会に付議し、取締役会が意思決定を行っています。

専門組織の設置

当社グループは、サステナビリティに係る統括・推進を担う専門組織として、当社に「サステナビリティ統括グループ」、子銀行の常陽銀行および足利銀行に「サステナビリティ推進室」を設置しております。今後も、グループの機能と知見を結集し、持続可能な地域社会の実現に向けた取り組みをグループ横断的に推進していきます。

サステナビリティ委員会および取締役会における気候変動対応・環境保全に関連する主な審議・報告事項(2023年度)

  • GXリーグへの参画
  • インターナル・カーボンプライシング(ICP)の導入
  • TNFD提言への賛同およびTNFDフォーラムへの参画 等

※2023年度はサステナビリティ委員会を7回開催

人権方針とエンゲージメント活動

グループ人権方針」に基づき、地域社会を含むあらゆるステークホルダーの基本的人権を尊重するために、融資先や調達・委託先(サプライチェーン)の企業活動が人権に与える負の影響に関心を持ち、人権尊重の取り組みを進めています。

戦略

気候変動関連(TCFD)

当社グループでは、事業活動に影響を及ぼすと想定される気候変動のリスクと機会を特定したうえで、財務インパクトの評価を実施しています。また、評価結果を踏まえ、当社グループの事業活動におけるCO2排出量削減やグループ会社による再生可能エネルギー事業への参入、お客さまへの資金やコンサルティング提供を通じた積極的な気候変動対策支援など、リスクの軽減ないし機会の獲得に向けた対応を進めています。

1.リスク

(1)リスク認識

当社グループが認識する気候変動に伴う主なリスクは以下のとおりです。

リスク 詳細 時間軸
物理的
リスク
  • 地球温暖化の進行による台風・洪水等の急性的な自然災害の激甚化や降水量増加等の慢性的な気候変化
  • お客さまの業績悪化や担保物件毀損の発生による当社グループの与信関係費用の増加
  • 当社グループの拠点が被災することにより事業が継続できないリスクや事業継続にかかる対策・復旧によるコスト増加
短期~長期
移行
リスク
  • CO2排出削減目標の厳格化や炭素税の導入・引き上げなどの法規制強化、産業構造の変化
  • お客さまの業績悪化による当社グループの与信関係費用の増加やそれに伴う投融資方針(セクター別方針)などの事業戦略の見直し等
中期~長期
  • 気候変動問題への取り組み不足や情報開示不足等によるレピュテーション悪化
  • 当社グループの資金調達環境の悪化等
短期~長期

※短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度

(2)シナリオ分析

当社グループでは、気候変動シナリオを考慮した当社グループの組織戦略のレジリエンス(強靭性)を評価するとともに、お取引先との対話(エンゲージメント)を強化することを目的として「物理的リスク」、「移行リスク」についてシナリオ分析を実施しており、継続的なシナリオ分析の取り組みの中で、分析手法の高度化や分析対象の拡大等に努めています。2023年度におけるシナリオ分析の概要は、以下のとおりです。

物理的リスク

Ⅰ 定性分析

物理的リスクの観点からお客さまが直面するリスクの分析を実施しています。

評価項目 主なリスク
異常災害の激甚化(急性リスク)
  • 激甚災害による操業継続へのダメージ(売上の減少)
  • 防災対応の強化、物損被害の発生(操業コストの増加)

Ⅱ 定量分析

国土交通省の公表資料等を参考に、4℃シナリオ下でハザードマップ級の洪水が発生する状況を想定し、「不動産担保の毀損」と「お客さまの事業停止に伴う財務悪化」による与信関係費用の変化を分析するとともに、今年度より、同様の状況における当社グループの「自社所有拠点の毀損」の分析を開始しました。

【分析手順】

【分析概要】

リスク事象 洪水による
  • 不動産担保の毀損
  • お客さまの事業停止に伴う財務悪化
  • 自社所有拠点の毀損
シナリオ IPCCによるRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)
分析対象 国内に事業拠点を有するお客さま 国内の全所有建物
分析期間 2050年まで
リスク指標 増加が想定される与信関係費用(信用コスト) 浸水被害が発生する拠点数および毀損額
リスク量 与信関係費用の増加額:最大150億円程度 拠点数:111拠点(全拠点の内16.6%)
毀損額:最大15億円程度

※気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオ

移行リスク

Ⅰ 対象セクター選定

移行リスク(政策・規制、業界・市場、技術、評判)の観点から当社グループの投融資ポートフォリオにおいて、移行リスクの影響が顕著となるセクターとして、「電力」「石油化学」「自動車」「金属・鉱業」の4セクターを抽出し、同セクターのお客さまが直面するリスクの分析を実施しています。

※炭素関連資産に含まれる「石油・ガス・石炭」セクターは、当社グループにおけるエクスポージャーの割合が低いことから分析対象外としました(2023年3月末時点で総与信額に占める割合は0.4%程度です)。

Ⅱ 定性分析

対象セクター 主な評価項目 主なリスク
電力 政策/規制 炭素税・炭素価格、温室効果ガス(GHG)排出規制の強化
  • 炭素税の導入、引き上げ(操業コストの増加、資産価値の低下、売上の減少)
  • GHG排出規制の強化(操業コストの増加、資産価値の低下)
業界/市場 エネルギーミックス等
  • 再生可能エネルギーの普及(収益の減少、操業コストの増加)
技術 低炭素技術の普及
  • 低炭素技術への移行(売上の減少、研究開発費の増加、操業コストの増加)
評判 顧客の行動変化
  • 環境配慮意識の向上(売上の減少、操業コストの増加)
石油
化学
政策/規制 炭素税・炭素価格、プラスチック規制への対応
  • 炭素税の導入・引き上げ(操業コストの増加)
  • プラスチック規制の導入(操業コストの増加)
業界/市場 原材料価格
  • 原材料価格の上昇(操業コストの増加)
技術 再生可能エネルギーの普及
  • 再生可能エネルギーの普及(操業コストの増加)
評判 顧客の行動変化
  • 顧客嗜好の変化(売上の減少)
自動車 政策/規制 炭素税・炭素価格
  • 炭素税の導入・引き上げ(操業コストの増加)
業界/市場 電気自動車(EV)化の進展
  • エンジン車の減少(売上の減少)
技術 EV車(次世代技術)の普及
  • EV車への転換(設備投資の増加)
評判 顧客の行動変化
  • 顧客嗜好の変化(売上の減少)
金属・鉱業 政策/規制 炭素税・炭素価格
  • 炭素税の導入・引き上げ(操業コストの増加)
業界/市場 マルチマテリアル化の進展
  • 軽量素材への移行(売上の減少、操業コストの増加)
技術 低炭素鋼材への移行
  • 低炭素鋼材への移行(売上の減少、研究開発費・設備投資の増加、操業コストの増加)
評判 顧客の行動変化
  • 環境配慮意識の向上(売上の減少、操業コストの増加)

Ⅲ 定量分析

脱炭素社会への移行に向けた「炭素税の導入」「お客さまの取り組み」「市場の変化」等による影響について、定量分析を実施しています。具体的には、国際エネルギー機関(IEA)の「Net Zero by 2050(NZE)」シナリオの予測データやサンプル企業の公開情報等を基に、「脱炭素社会への移行に伴うお客さまの財務悪化」による当社グループにおける与信関係費用の変化を分析しています。

【分析手順】

【分析概要】

リスク事象 脱炭素社会への移行に伴うお客さまの財務悪化
シナリオ NZEシナリオ※1(1.5℃シナリオ)、RCP2.6シナリオ※2(2℃シナリオ)
分析対象 「電力」「石油化学」「自動車」「金属・鉱業」セクター
分析期間 2050年まで
リスク指標 増加が想定される与信関係費用(信用コスト)
リスク量 与信関係費用の増加額:最大187億円程度
  • ※1 
    国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオ
  • ※2 
    気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオ

(3)シナリオ分析結果について

今回の分析手法により算出した当社グループへの影響額は、いずれも限定的であるとの結果になりました。分析結果はお客さまとのエンゲージメントに活用し、お客さまの気候変動対応、脱炭素化に向けた取り組みを支援し、当社グループとお客さまの機会の最大化およびリスクの最小化を目指すとともに、引き続き分析の高度化に取り組んでいきます。

(4)炭素関連資産の状況

当社グループでは、気候変動関連リスクを把握するための取り組みの1つとして、他業種と比較し、気候変動関連リスクによる財務的影響を受けやすいとされる炭素関連業種との取引状況の把握に努めています。当社の総与信残高※1に占める炭素関連業種※2の与信残高および貸出金における割合は次のとおりです。

エネルギー 運輸 素材・建物 農業・食料・林産物
与信額 1,826億円 4,702億円 31,228億円 2,874億円 40,629億円
割合 1.5% 3.7% 24.9% 2.3% 32.4%
  • ※1 
    貸出金、支払承諾、外国為替、私募債、コミットメントライン空枠等の合計。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く。
  • ※2 
    TCFD提言における対象業種はGICS(世界産業分類)における業種分類を推奨していますが、当社では日銀業種分類に当てはめて集計しているため、差異が生じる場合があります。

2.機会

(1)機会認識

当社グループが認識する気候変動に伴う主な機会は以下のとおりです。

詳細 時間軸
ビジネス機会の増加
  • 脱炭素化に向けた気候変動関連ビジネス(コンサルティング、商品・サービスの提供等)需要の増加
  • 再生可能エネルギー関連融資をはじめとするサステナブルファイナンス等の取引拡大
  • 異常気象災害へ備えるインフラ投資、被害(事業所や住宅の毀損等)を低減させるための設備投資等への資金需要の増加
短期~長期
コスト削減
  • 省資源、省エネルギー化等による当社グループの事業コストの低下
短期~長期
社会的評価の向上
  • 気候変動対応強化と積極的な開示による企業価値・社会的評価の向上
中期~長期

※短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度

(2)認識した機会に対する取り組み

気候変動対策支援サービスの提供

カーボンニュートラルに向けた取り組みは、積極的に脱炭素経営に取り組む上場・大手企業のサプライチェーンの中に位置する地域の中小企業においても事業継続・持続的成長に不可欠であり、重要な経営課題となっています。
また、温暖化に伴い、激甚化・頻発化が進んでいる災害に対する備えも事業継続に不可欠となっています。これらの理由から当社グループは、資金供給やコンサルティングを通じて、お客さまの気候変動対策を積極的に支援しています。

主なサービス一覧

非金融サービス 金融サービス
意識啓発
  • SDGs宣言書作成支援サービス
  • SDGs/脱炭素関連セミナーの開催
  • SDGs簡易評価付帯融資
GHG排出量削減
  • GHG排出量算定・削減支援
  • 再生可能エネルギーの供給
  • J-クレジット販売・購入支援
  • ESGファイナンス
  • 太陽光発電設備支援融資
  • 電気自動車向けマイカーローン
災害対策
  • 災害対策コンサルティングサービス
  • 損害保険付帯融資

GHG排出量算定・削減支援

当社グループでは、お客さまの脱炭素化への取り組みを支援するため、様々なサービスの拡充・提供を行っています。
子銀行である常陽銀行および足利銀行では、GHG排出量削減に寄与する省エネ設備導入にあたってのファイナンス支援や、カーボンクレジットの活用などの具体的な削減施策の提供にとどまることなく、脱炭素化へ取り組むに際して最初に取り組むべき『排出量の算定・可視化』『削減目標・計画の策定』など、初期の段階からお客さまをご支援することで、脱炭素経営に関する包括的なサポートを行っています。

<脱炭素に向けた取り組みステップ>

常陽銀行

「エコサポ」

  • 2024年6月に「エコサポ」の取扱いを開始しました。お客さまのCO2排出量データを基に、CO2削減計画の立案から削減まで、お客さまの脱炭素経営をサポートします。
  • 株式会社日立製作所との協業により、排出量の算出・管理ツール「エコサポ」と、エネルギーの見える化・最適化支援ツール「EFaaS(イファース)」の取り扱いを開始しました。

管理ツール「エコサポ」導入による排出量可視化イメージ

足利銀行

「カーボン・マネジメントコンサルティングサービス」

  • 株式会社ウェイストボックスとの業務提携により、2022年3月より取り扱いを開始しました。
  • GHGプロトコル※1に基づく排出量の算定、SBT※2に準じた削減目標および削減計画の作成のほか、中小企業向けSBTの申請支援や対外PR等各種支援を行い、お客さまの脱炭素化に向けた取り組みを総合的にサポートしており、2024年3月末までに累計60件の申込みを受けています。

スキーム図

  • ※1 
    国際的に認められた温室効果ガス排出量の算定と報告の基準。
  • ※2 
    パリ協定が求める水準と整合した、5年~15年先を目標として企業が設定する、温室効果ガス削減目標

再生可能エネルギー事業への参入

地域における再生可能エネルギー(以下、「再エネ」という)の需要が急速に高まっており、大手企業のみならず、地域企業の自社使用電力における再エネニーズも顕在化しています。再エネ電源の取得・発電やその派生事業を通じ、地域の脱炭素化に貢献するため、2022年7月に「常陽グリーンエナジー株式会社」を設立。2023年8月には足利銀行の子会社である株式会社コレトチが電力事業に参入しました。

常陽グリーンエナジー

再生可能エネルギー電源の取得を進め、2024年3月現在、一般家庭2,100世帯相当となる約7MWの太陽光発電施設を取得し、電力を供給しています。また、Jクレジットの販売のほか、地方自治体と連携したPPA※による電力供給を開始しています。2024年1月にはオンサイトPPA契約を日本物流開発株式会社と締結しました。

※太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギー由来の電気を購入したい需要家と電力購入契約(Power Purchase Agreement)を締結して当該太陽光発電設備で発電した電気を供給すること。

太陽光発電設備の約7MWの取得(2024年3月現在)

※投資先の一例

株式会社コレトチ

2024年6月、当社の電力事業における第一号案件として、栃木県の県有施設3施設とオンサイトPPA契約を締結しました。本件の太陽光発電設備が稼働することにより、年間174MWhの発電量を想定しています。引続き、地域・お客さまとのネットワークを通じ、再生可能エネルギーの地産地消に取り組んでいます。

自然資本関連(TNFD)

当社グループは、TNFD提言v1.0を参考に、事業活動における自然への依存と影響、リスクと機会の分析を行いました。ただし、現時点では分析に着手した段階であり、さらに精度を高め、地域やお客さまの環境への取り組みを支援する必要があると認識しています。今後も、調査・研究を重ね、分析の高度化を進めていきます。

1.依存と影響

当社グループを含む多くの企業は、自然と関わりながら事業活動を行っています。銀行業務を中心とする金融サービス事業を営む当社グループにおいては、当社グループの事業活動による直接的な自然への依存と影響だけでなく、投融資活動を通じた間接的な自然への依存と影響を把握する必要があると考え、当社グループにおける投融資額の上位セクターについて、ENCORE※のデータを活用したヒートマップを作成し、セクターごとの自然への依存と影響を分析・整理しました。

  • ※ENCORE…
    国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)や自然資本金融同盟(NCFA)などによって開発された分析ツール。セクターごとの自然への依存度や影響度などの分析が可能。

依存と影響のイメージ図

(1)分析結果

依存

供給サービスの「地表水」「地下水」、調整サービスの植生による「気候調整(気温・湿度・風速などの調整)」「洪水・暴風雨からの保護」「土壌安定・浸食抑制(沿岸や砂丘等の安定化や浸食防止、雪崩や地滑りなどの防止)」に依存しているセクターが多いことが分かりました。

影響

GHG(温室効果ガス)の排出による気候変動への影響が最も大きく、そのほか、水質・土壌の汚染に影響を与えるセクターが多いことが分かりました。

(2)分析結果を踏まえた対応

分析結果を踏まえ、当社グループでは、引き続きお客さまの脱炭素化支援や植樹活動などの自然保護活動に積極的に取り組むとともに、分析対象の拡大・分析内容の高度化を進めていきます。

依存のヒートマップ

  • ※1 供給サービス…
    一次原材料(食料・水・燃料など)の供給を行うサービス。
  • ※2 調整サービス…
    気候の調整や水の浄化、災害の緩和など、環境を調整・安定させるサービス。

影響のヒートマップ

  • ※1 
    ビジネスのインプット…事業活動の過程で自然資本を利用することで影響を与えるもの
  • ※2 
    ビジネスのアウトプット…事業活動の過程で排出されることで影響を与えるもの

2.リスクと機会

(1)リスク認識

TNFDでは、自然関連リスクを、自然に対する依存と影響から生じ、組織にもたらされる潜在的な脅威とし、物理的リスク、移行リスク、システミックリスクの3つに分類しています。
当社グループが現時点で認識しているリスクは以下のとおりです。

リスク分類 事象例 社会や経済への影響例 当社グループの事業活動におけるリスク 時間軸 当社グループの主な対応策
(リスク軽減策)
物理的
リスク
急性
  • 自然災害の増加
  • 少雨や干ばつ等の気象の変化
  • 病虫害の発生
  • 自然災害被害の増大に伴う事業停止・管理コスト増加
  • 農林水産物の収穫量の低下
  • 感染症の発生
  • 取引先の業績悪化による信用コストの増加
  • 投融資先による自然資本毀損が発生した場合の
    レピュテーションの悪化
短期
  • 取引先への情報提供・啓発、コンサルティングの実施
  • 提携先の拡充等によるソリューションメニューの充実
慢性
  • 土地および海洋利用の変化
  • 湿地や森林の荒廃
  • 生態系の変化
  • 汚染
  • 農林水産資源の枯渇化
  • 水等資源供給の減少
  • 伝染病媒介生物の生息地の変化
  • 侵略的外来種の増加
  • 生産プロセスおよびバリューチェーンの毀損
  • 渇水による操業停止
  • 事業のリロケーションおよび調整
  • 原材料等の調達コスト増加
  • 受粉や水資源涵養等の生態系サービスの低下
中期
~長期
移行
リスク
政策

規制
  • 規制・基準の導入・強化
  • 生産量規制の変化
  • 訴訟の増加
  • 規制・基準への対応コストの発生・増加
  • 調達量の減少、価格上昇によるコストの増加
  • 訴訟対応コストの増加
  • 取引先の業績悪化による信用コストの増加
  • 変化に対応できないことによる収益機会の逸失
  • 競争力の低下
中期
  • 継続的な情報収集と動向把握に基づく対応策の策定
  • 取引先への情報提供・啓発、コンサルティング
  • 提携先の拡充等によるソリューションメニューの充実
市場

業界
  • 消費者行動の変化
  • 商品・サービスに対する需要と供給の変化
  • サプライチェーンからの要請拡大(トレーサビリティ、認証など)
  • 売上機会・顧客の喪失
  • 対応コストの増加(例:認証取得費用)
  • 自然資本・生物多様性に配慮した調達に伴うコストの増加
  • 業界勢力図の変化
短期
~中期
技術
  • 自然資本・生物多様性に配慮した技術の開発・普及
  • 産業構造・事業競争力の変化
  • 技術開発・導入コストの増加
中期
~長期
評判
  • 自然資本の毀損への関与や対応の遅れ・不十分な場合の批判や評価の低下
  • ブランド価値の毀損、抗議行動、不買運動
  • 投資家・金融機関からの評価の低下に伴う資金調達の困難化
  • 従業員エンゲージメントの低下
  • レピュテーションの悪化
  • 顧客離れや企業イメージ・ESG評価の低下
中期
~長期
  • 適切な情報発信とステークホルダーとの対話の実施
訴訟

賠償責任
  • 法規制、判例法の発展による賠償責任の発生
  • 既存法規制の強化や新たな法規制の導入に伴う賠償責任・行政処分
  • 生態系影響に対する反対運動による賠償責任
  • 自然資本・生物多様性への認識が高まり、企業活動における対応が
    広範となることによるスキルを有する人材確保に関する課題の顕在化
  • 自然資本・生物多様性の知見を有する人材の確保
  • 投融資先による自然資本毀損が発生した場合の
    レピュテーション悪化
短期
~中期
  • 継続的な情報収集と動向把握に基づく対応策の策定
システミック
リスク
生態系の
安定性リスク
  • 自然の喪失により、自然が重要な生態系サービスを提供できなくなることによる、
    連鎖的な自然破壊
  • 人獣共通感染症の発生(例:COVID-19)
  • 複数業種における多大な財務的損失の同時発生
    (例:乱獲による漁業の崩壊、原材料の調達困難化等)
  • パンデミック発生による、社会・経済活動の停滞
  • 取引先の業績悪化による信用コストの増加
  • 営業活動が停滞することによる収益機会の逸失
短期
~中期
  • シナリオ分析の高度化
  • コンティンジェンシープランの定期的な見直し
金融安定性リスク
  • 複数の政策、法律、技術的対応、社会的対応の同時発生
  • 多くのセクターや個人の生活への財務的・社会的影響の発生

※短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度

(2)機会認識

TNFDでは、自然機会の分類は、ビジネスパフォーマンスに関するもの(企業業績に関する機会)と、サステナビリティ・パフォーマンスに関するもの(持続可能性のパフォーマンスに関する機会)に分類され、この2つのカテゴリーは互いに排他的なものではないとしています。
当社グループが現時点で認識している機会は以下のとおりです。

自然機会の分類 事象例 当社グループの事業活動における機会 時間軸
企業業績に関する機会 製品・サービス
  • 自然へのポジティブな影響またはネガティブな影響の
    緩和効果を持つ製品・サービスの開発・拡大
  • 生物多様性の保全と持続可能な利用を促進する
    新技術の開発・普及
  • 競争優位性の確立
  • 自然関連のリスク・機会の分析や事業戦略策定を支援する
    コンサルティング機会の増加
  • 新たな投融資機会の増加
短期
~中期
市場
  • 新規市場・新興市場の広がり
  • 消費者の行動変化(持続可能性に配慮した
    製品・サービスに対する需要の増加)
  • 自然関連ビジネス、商品・サービスの開発
中期
~長期
資源の効率性
  • 環境負荷の低い原材料への変更等の生産プロセスの転換
  • 自然に配慮した原材料の認証制度の広まり
  • 再生素材の活用とリサイクルの広まり
  • 水使用量と消費量の削減
  • 多様な原材料の活用(未利用資源の活用)
  • 汚染防止や廃棄の削減
  • コンサルティング機会、ビジネスマッチング機会の増加
  • 新たな投融資機会の増加
中期
~長期
資金フローと資金調達
  • 自然関連のグリーン金融の広まり
  • 公的インセンティブの活用による環境保護
  • 新たな投融資機会の増加
短期
~中期
評判
  • ステークホルダーの理解促進・関係強化、協働の広まり
  • ブランドイメージの向上、他社との差別化
  • 自然関連リスクへの対応やソリューション開発による評判向上
  • ネイチャーポジティブへの貢献による評価の高まり・企業価値の向上
中期
~長期
持続可能性の
パフォーマンスに
関する機会
天然資源の持続可能な使用 (資源の効率性と同じ) (資源の効率性と同じ) 中期
~長期
生態系の保護、修復、再生
  • 自然の保全・再生活動
  • 地域におけるグリーンインフラの実装
  • 希少生物の保護
  • コンサルティングニーズや投融資機会の増加
中期
~長期

※短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度

(3)認識したリスクと機会に対する取り組み

当社グループと自然との関わりについて定性分析により整理しましたが、具体的な戦略の実行に向けては、更なる分析の高度化を図る必要があると考えています。
今後は、地理的な特性や各セクターの特性等を考慮し、定量的な分析を行うなど、分析の高度化を図り、当社グループおよび地域やお客さまのリスクの最小化と機会の最大化の実現を目指していきます。

リスク管理

当社グループは、経営の健全性・安全性を確保しつつ企業価値を高めていくために、業務やリスクの特性に応じてリスクを適切にコントロールしていくことを経営の最重要課題の一つとして認識し、リスク管理態勢の高度化に取り組んでいます。
今後も、リスク管理体制の高度化に努めるとともに、お客さまとのエンゲージメントを通して把握した課題やニーズに対する最適なソリューションを開発・提供し、ビジネス機会の創出とリスクの低減・回避の両立を図っていきます。

1.統合的リスク管理

当社グループでは、多様化・複雑化する金融業務の各種リスクを個々に管理するとともに、リスクを相対的に管理するため、信用リスクや市場リスクなどの異なるリスクをVaRなどの統計的手法を用いて定量的に把握する「統合的リスク管理」を行っています。

2.特定セクターへの投融資ポリシーの策定と公表

環境・社会に負の影響を与える可能性のあるセクターへの投融資について、「環境・社会に配慮した投融資方針」を定め、環境・社会への影響の低減・回避に努めているほか、投融資方針に則り、適切に運営されているかについて定期的にモニタリングを行っています。投融資方針を制定した2021年3月以降、方針に抵触する投融資は行っていません。

セクター 投融資方針 2023年度モニタリング結果
石炭火力発電事業 新設の石炭火力発電所向け投融資は、原則として取り組みません。(ただし、例外的に取り組みを検討していく場合は、国際的なガイドライン等※1を参考に、発電効率性能や環境への影響、地域社会への影響等、個別案件ごとの背景や特性等に十分注意のうえ、慎重に対応します。) 2023年度、新設の石炭火力発電所向け投融資はありません。既存残高※2は、2039年度までにゼロとします。
森林伐採事業 国際認証(FSC※3、PEFC※4)の取得状況や環境に対する配慮、地域社会とのトラブル発生状況等に十分注意のうえ、慎重に対応します。 森林伐採事業に対する投融資はありません。
パーム油農園開発事業 国際認証(RSPO※5)の取得状況や環境に対する配慮、地域社会とのトラブル発生状況等に十分注意のうえ、慎重に対応します。 パーム油農園開発事業に対する投融資はありません。
クラスター弾製造事業 クラスター弾の非人道性を踏まえ、クラスター弾の製造を行っている企業に対する投融資は、資金使途に関わらず取り組みません。 クラスター弾製造事業に対する投融資はありません。
人権侵害・強制労働等 国際的な人権基準※6の主旨に反する児童労働や強制労働など、人権侵害が行われている事業への投融資は取り組みません。 人権侵害・強制労働等が行われている事業に対する投融資はありません。
  • ※1 
    経済協力開発機構(OECD)が制定する公的輸出信用アレンジメント等
  • ※2 
    既存の投融資残は、事業者が投資時点で、各発電規模における最良の技術(BAT=Best Available Technology)を採用したプロジェクトに限定して対応
  • ※3 
    森林管理協議会。環境保全の観点から適切で社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理を理念とする国際的な森林認証制度を運営する非営利団体
  • ※4 
    森林認証プログラム。世界の森林の85%をカバーする「持続可能な森林経営のための政府間プロセス」をベースに各国で個別に制定された森林認証制度の審査およびそれら制度間の相互認証を推進するための国際統括組織
  • ※5 
    持続可能なパーム油のための円卓会議。持続可能なパーム油の生産と利用を促進する、世界的に信頼される認証基準の策定を図る組織
  • ※6 
    世界人権宣言、ビジネスと人権に関する指導原則等

3.気候変動リスクの波及

シナリオ分析や定性分析の結果を踏まえ、気候変動リスクは、信用リスクやオペレーショナルリスクのほか、広範かつ複雑な経路やさまざまな時間軸を通して波及し、当社グループの事業運営・戦略・財務計画に大きな影響を及ぼす可能性があると認識しています。
今後も、リスクカテゴリー毎のリスクの波及や時間軸について分析を深めるとともに、総合的な枠組みでのリスク管理を進めていきます。

物理的リスク 移行リスク
信用リスク 自然災害激甚化の影響で、お客さまの資産が被災することによる担保価値の毀損、お客さまの事業停滞・業績悪化に伴う信用リスクの増加 脱炭素社会への移行に向けた、政策・規制、マーケット、技術開発等の変化への対応不足等による、お客さまの業績悪化に伴う信用リスクの増加
市場リスク 自然災害激甚化の影響による有価証券等の価値の下落に伴う市場リスクの増加 脱炭素社会への移行に伴う投資先の業績悪化や、市場における投資家の行動の変化による有価証券等の価値の下落に伴う市場リスクの増加
流動性リスク 自然災害激甚化により被災した顧客の資金繰り悪化による預金引出など資金流出の増加に伴う流動性リスクの増加 気候変動リスクへの対応不足などによる当社グループの格付低下を受けた市場調達コストの上昇、預金流出に伴う流動性リスクの増加
オペレーショナルリスク 当社グループの拠点被災による有形資産リスクの増加、事業中断や防災コストの増加 脱炭素社会への移行への対応不足(開示の不足や炭素関連資産の保有)によるレピュテーショナルリスク(風評リスク)の増加

4.自然資本にかかるリスクおよびインパクト管理

今年度の情報開示に向けた取り組みでは、定性分析やENCOREを活用した依存と影響のヒートマップの作成に着手しましたが、優先地域・優先セクターの特定や定量分析などには達しておらず、リスクおよびインパクト管理を行うためには、分析の高度化を進める必要があると認識しています。
今後は、地理的な特性等を考慮した自然資本関連のリスクおよびインパクトに関する分析の高度化を図ることで、管理態勢の構築を進めていきます。

指標と目標

当社グループは、脱炭素社会およびネイチャーポジティブの実現に向けて、目標の設定とロードマップを策定するとともに、各種指標によりモニタリングを行っています。これらの目標・指標の進捗状況は、定期的にサステナビリティ委員会および取締役会へ報告し、戦略への反映・監督を行っています。

1.サステナブルファイナンス

2021年度~2030年度までにサステナブルファイナンス3兆円、うち環境分野のファイナンス2兆円の実行目標を設定しており、目標達成に向けて取り組んでいます。
2021年度~2023年度の累計実績は、1兆1,574億円、うち環境分野7,569億円となりました。
今後も、サステナブルファイナンスの提供により、環境・社会課題の解決を通じて持続可能な社会の実現を目指すお客さまの活動を支援していきます。

「サステナブルファイナンス」の定義

関連する外部基準(グリーンローン原則、グリーンボンド原則、ソーシャルボンド原則など)を参考に、「環境・社会課題の解決を通じて持続可能な社会の実現を目指すお客さまの活動を支援するファイナンス」

環境分野 再生可能エネルギー事業など気候変動の適応・緩和に資する事業
再エネ・省エネ・カーボンニュートラルに資する設備投資 等
社会分野 地域活性化、地方創生に資する事業
スタートアップ企業の育成、雇用の創出等に資する事業 等

サステナブルファイナンス実行額推移

<フレームワーク型サステナビリティ・リンク・ローン>

子銀行の常陽銀行および足利銀行で、フレームワーク型のサステナビリティ・リンク・ローン※の取り扱いを開始しました。これは、事前に設定した複数の評価指標(KPI)の中から、お客さまのサステナビリティ向上への取り組みと関連性の高いKPIを1つ選択いただき、目標である「サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)」の達成状況に応じて融資利率を引き下げる商品です。お客さまはKPI/SPTを選択するだけで利用できるため、通常のサステナビリティ・リンク・ローンよりも短時間・低コストで資金調達することができます。
これにより、多くのお客さまにおいてサステナビリティに関する取り組みを始めるきっかけになる商品としてご利用いただけるものと考えています。

KPI/SPTの例
KPI SPT
常陽銀行 CO2排出量(Scope1・2) 左記の目標年度における削減目標の達成
健康経営優良法人認定 左記の取得
足利銀行 中小企業向けSBT 左記の取得
えるぼし認定 左記の取得

※各子銀行における商品名
常陽銀行「サステナビリティ・リンク・ローン/常陽フレームワーク」(https://pdf.irpocket.com/C8333/KKjE/raKk/L04W.pdf
足利銀行「あしぎんサステナビリティ・リンク・ローン(ターゲット選択型)」(https://pdf.irpocket.com/C0060/PTSX/x4Py/YScG.pdf

2.CO2排出量

全てのグループ内会社を含めた全社におけるCO2排出量(Scope1、Scope2)を2030年度にネット・ゼロとすることを目標として設定し、達成に向けてCO2排出量の削減に取り組んでいます。

(1)CO2排出量削減目標(Scope1、Scope2)

目標2030年ネット・ゼロ

2023年度の主な取り組み

省エネ化

  • 2023年10月よりインターナル・カーボンプライシングを導入し、省エネ設備の導入を促進
  • 「JOYO GXプロジェクト」による省エネ活動の推進
  • LED化(足利銀行全拠点完了)、空調設備の高効率化
  • 低燃費対応車へ変更、随時EV化を実施
  • 節電(空調設定温度管理、早期退行を含む)

再エネ化

  • 2023年4月より新たに足利銀行の電算センターおよび宇都宮中央支店、研修センター(宇都宮中央支店内)に実質再生可能エネルギー電力を導入。削減効果は前年度比△1,608t-CO2

(2)Scope3排出量

常陽銀行および足利銀行合算のScope3排出量は以下のとおりです。

【カテゴリー別排出量】

カテゴリー 排出量
(t-CO2)
カテゴリー1 購入した商品・サービス 8,147
カテゴリー2 資本財 13,833
カテゴリー3 Scope1~2に含まれない燃料およびエネルギー活動 2,106
カテゴリー4 輸送、配送(上流) 542
カテゴリー5 事業から出る廃棄物 26
カテゴリー6 出張 1,089
カテゴリー7 雇用者の通勤 3,264
カテゴリー15 投融資 19,337,643
合計 19,366,652

※カテゴリー8~14は算定による排出量がゼロ

【カテゴリー15(投融資)について】

業種 炭素強度※1
(t-CO2/百万円)
排出量※2
(t-CO2)
農業 5.21 1,529,772
製紙・林業 7.34 664,658
飲料・食品 2.55 18,613
金属・鉱業 8.41 1,928,204
化学 7.26 887,127
石油・ガス 11.01 328,653
建築資材・資本財 3.09 4,680,049
自動車 3.93 574,426
電力 31.69 1,178,225
不動産管理・開発 0.69 262,572
陸運 3.48 874,840
海運 17.00 75,616
空運 10.91 14,641
その他 2.28 6,320,243
合計 19,337,643
  • PCAF※3スタンダードの計測手法を参考に、常陽銀行および足利銀行の事業性融資先全先を対象に算定を実施しました。
  • 算定プロセスは、開示データなどのCO2排出量実績から算定する「ボトムアップ方式」、業種ごとの炭素強度を使用して炭素排出量を推計する「トップダウン方式」等があり、今回は開示情報が取得できる先はボトムアップ方式、その他の先はトップダウン方式を採用しました。
  • 算定結果については、お客さまとのエンゲージメントに活用し、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
  • 今後の算定高度化に向け、2024年2月より、PCAF公認の炭素会計プラットフォームである「Persefoni」の使用を開始、分析を行っています(今年度は従来の手法により算定しています)。
  • 今後も算定の精緻化と対象範囲の拡大を図っています。
  • ※1 
    炭素強度:投融資先の売上高1百万円当たりのCO2排出量
    業種別炭素強度=∑(各業種に属する融資先毎の炭素強度)/各業種に属する融資先数
  • ※2 
    排出量の算定式=∑{融資先の排出量(炭素強度×売上高)×帰属係数(常陽銀行・足利銀行の融資額/融資先の資金調達総額)}
  • ※3 
    Partnership for Carbon Accounting Financials(金融機関の投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を計測・開示する方法を開発する国際的なイニシアティブ)
  • (注)
    算定は「2023年9月末時点でのお客さまへの融資残高」と「2023年9月末時点で常陽銀行および足利銀行が保有する最新決算情報」を使用。

(3)CO2排出量削減ロードマップ

当社グループのサステナビリティ長期KPIである「2030年度CO2排出量ネット・ゼロ(Scope1、2)」の達成に向け、ロードマップ(2022年6月作成)に基づき、当社グループの事業活動における排出量削減に取り組むとともに、エンゲージメント活動を通じてお客さまの脱炭素化支援を進めています。
今後も、技術動向や環境変化等を踏まえ、適宜ロードマップの見直しを行い、目標達成に向けた取り組みを進めていきます。

CO2排出量削減ロードマップ

ロードマップに基づき、2023年度末までに実施した「大規模拠点への再生可能エネルギーの導入」により、当社グループの使用電力のうち39.6%が再エネ化されました(2023年度使用量基準)。

3.インターナル・カーボンプライシング(ICP)

当社グループでは、脱炭素化への取り組みを更に強化するため、2023年10月より、インターナル・カーボンプライシング(ICP)※を導入し、運用を開始しました。
現在は、設備の導入を検討する際、その設備によるCO2排出量を金額換算し、投資判断に組み込むことで、CO2排出量の削減に活用しているほか、社内の意識啓発等に活用しております。
価格は、長期的な炭素価格見通しを公表している公的機関のIEAにおけるNZE(2050年のCO2排出量ネットゼロ達成を想定したシナリオ)を参考に設定しました。今後も動向を注視し、適宜見直しを行います。

※企業がビジネスの過程で排出する二酸化炭素の量に自主的に「価格付け」を行う取り組み。

環境関連データ

エネルギー消費量に関するデータ(銀行合算)

計測項目(単位) 2021年度(令和3年度) 2022年度(令和4年度) 2023年度(令和5年度)
2行合算 常陽銀行 足利銀行 2行合算 常陽銀行 足利銀行 2行合算 常陽銀行 足利銀行
目標
:1㎡あたりのエネルギー使用量
:エネルギー総使用量(KL)/面積(平方メートル)
0.0266 0.0258 0.0277 0.0264 0.0263 0.0265 0.0247 0.0248 0.0247
1㎡あたりのエネルギー使用量
:エネルギー総使用量(KL)/面積(平方メートル)
0.0267 0.0266 0.0267 0.0250 0.0251 0.0249 0.0207 0.0209 0.0206
直接的エネルギー消費 灯油
(キロリットル)
0 0 0 0 0 0 0 0 0
軽油
(キロリットル)
0 0 0 0 0 0 1 1 0
重油
(キロリットル)
140 10 130 116 4 112 119 8 111
石油ガス(LPG)
(トン)
27 23 4 35 31 4 36 31 4
都市ガス
(千立方メートル)
107 74 33 120 89 31 99 70 29
間接的エネルギー消費 電気
(メガワット時)
34,733 19,979 14,754 32,005 18,446 13,559 29,864 17,320 12,543
蒸気
(ギガジュール)
2,050 2,050 0 2,074 2,074 0 2,111 2,111 0
温水
(ギガジュール)
0 0 0 0 0 0 0 0 0
冷水
(ギガジュール)
0 0 0 0 0 0 0 0 0
面積(平方メートル:㎡) 343,826 197,700 146,126 338,909 195,012 143,897 337,658 194,358 143,300
エネルギー総使用量(KL) 9,168 5,260 3,908 8,477 4,893 3,584 6,998 4,053 2,945

GHG(温室効果ガス)排出量
(当社グループ全体。ただし、Scope3については2行合算)

項目 単位 2021年度 2022年度 2023年度
GHG排出量 Scope1(直接排出) t-CO2 2,805 2,811 2,742
GHG排出量 Scope2(間接排出) t-CO2 15,920 12,079 7,552
GHG排出量 Scope3(カテゴリ1~15) t-CO2 3,441 20,519,939 19,366,652
うち、カテゴリ1(購入した製品・サービス) t-CO2 未計測 6,267 8,147
うち、カテゴリ2(資本財) t-CO2 未計測 8,146 13,833
うち、カテゴリ3
(Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動)
t-CO2 未計測 2,237 2,106
うち、カテゴリ4(輸送、配送 上流) t-CO2 未計測 534 542
うち、カテゴリ5(事業から出る廃棄物) t-CO2 未計測 29 26
うち、カテゴリ6(出張) t-CO2 776 1,128 1,089
うち、カテゴリ7(通勤) t-CO2 2,665 3,398 3,264
うち、カテゴリ8(リース資産 上流) t-CO2 未計測 0 0
うち、カテゴリ9(輸送、配送 下流) t-CO2 未計測 0 0
うち、カテゴリ10(販売した製品の加工) t-CO2 未計測 0 0
うち、カテゴリ11(販売した製品の使用) t-CO2 未計測 0 0
うち、カテゴリ12(販売した製品の廃棄) t-CO2 未計測 0 0
うち、カテゴリ13(リース資産 下流) t-CO2 未計測 0 0
うち、カテゴリ14(フランチャイズ) t-CO2 未計測 0 0
うち、カテゴリ15(投融資) t-CO2 未計測 20,498,197 19,337,643
GHG総排出量(Scope1,2) t-CO2 18,725 14,890 10,294
GHG総排出量(Scope1,2,3) t-CO2 22,166 20,534,830 19,376,946

森林保全・環境保全活動

植樹活動

「常陽ふるさとの森」づくり

常陽銀行は、ふるさとの美しく健全な森を次世代に引き継ぐため、2009年度より那珂市および筑波山の「常陽ふるさとの森」において、間伐や植樹活動を実施し、ふるさとの緑を守り育てる森づくりに取り組んでいます。
これまでの環境保全に対する積極的な取り組みが評価され、茨城県が実施する「地球にやさしい企業表彰」を過去3回受賞しております。

「あしぎんの森」づくり

足利銀行は、2012年度より、職員とその家族を中心とした植樹活動「あしぎんの森」づくりに取り組んでいます。地域の皆さまに四季折々の自然の美しさを感じていただける森を目指して、歩道整備や下草刈りなどの活動を行っています。

足尾の山への植樹

足利銀行は、煙害で荒廃した足尾の山の緑化活動とともに水循環系としての渡良瀬川源流地域の問題を考え、自然環境の健全化に取り組んでいる「NPO法人 足尾に緑を育てる会」の活動に賛同し、新入行員と栃木県産業協議会の会員企業新入社員で植樹を行っています。

環境保全活動

日光杉並木への保全協力

足利銀行は、世界に誇る日光杉並木を守るため栃木県が行っている、「日光杉並木オーナー制度」に賛同し、制度が開始された1996年より日光杉並木のオーナーとなっています。その後も継続的に購入(1本1,000万円)し、一団体としては最多の杉を保有しています。また、「日光杉並木オーナー制度」への協力だけでなく、清掃活動等へも参加し、杉並木の保護活動も積極的に行っています。

杉の保有数
2023年3月31日現在 80本(累計)

公益信託「エコーいばらき」環境保全基金

常陽銀行は、茨城県内で環境保全に取り組む団体などに対して助成を行っています。
公益信託「エコーいばらき」は、1992年、当行と損害保険ジャパン株式会社により共同で設立しました。以降、毎年助成希望者を募集し、運営委員会による審議・選定を経て助成しています。

公益信託等を通じた助成(累計)

件数 助成金額
1,719件 1億8,475万5,000円