少子高齢化の進行、デジタル化による産業・就業構造の変化や脱炭素・循環型社会への移行などの大きな潮流に加え、ライフスタイルや社会行動の変化、地政学リスクの顕在化など不確実性も高まり、地域のお客さまもこれまでになく、多様化かつ山積する経営課題への対応を余儀なくされています。
めぶきフィナンシャルググループでは、コンサルティング機能の強化やグループ機能の拡充により、地域やお客さまの課題解決に関するサービスの質を高め、グループの強みを活用した新事業領域への開拓に挑戦していくことで、持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。
経営課題への対応
事業者向け支援メニューの充実
事業者向けコンサルティングの深化
営業店とコンサルティング部署が一体となり、当社グループ機能、ビジネスマッチング契約先や外部専門家、公的機関等と連携し、専門性の高い情報提供・ご提案により、お客さまの課題・ニーズに対応しています。
伴走型企業支援(個社別コンサルティング)
当社グループでは事業承継支援、事業計画等のお客さまの課題を起点とした伴走型企業支援(個社別コンサルティング)を展開しています。
契約件数と内訳の推移(銀行合算)
本業支援
ビジネスマッチング
伴走型コンサルティングを通じて、お客さまの課題やニーズを可視化し、最適なソリューションをグループ一体で提供しています。
事業承継や設備投資など企業の成長サイクルに応じた経営課題解決のご支援を通じ、お客さまの持続的成長をサポートしています。
ビジネスマッチング成約件数の推移(銀行合算)
販路拡大支援・創業支援
茨城県・栃木県は、農業、製造業が多くの割合を占める産業構造であり、今後も両県の立地や技術革新等による産業の発展・成長が期待されています。当社は「地域創生部」を設け、常陽銀行・足利銀行と連携し、地域の産業振興に取り組んでいます。
両子銀行が培ったノウハウの共有と当社グループの内外ネットワークを活用し、お客さまに最適なソリューションを提供するとともに、販路拡大・ブランディングなど、事業拡大支援を強化しています。販路拡大支援としては、取引先に対する大手企業との商談機会の提供や、両子銀行の取引先間での新たなビジネスマッチングを促進することを目的に、食関連やものづくりの商談会を合同で開催しています。また、地域に潜在する革新的・創造的な事業プランを発掘し、事業化を促進するため「めぶきビジネスアワード」を開催しています。さらに、常陽銀行では、地域産業の掘り起こしと新事業創出支援にも取り組んでいる投資専門子会社である常陽キャピタルパートナーズと共同運営している「つくばエクシードファンド」を通じた茨城県つくば地区のベンチャー企業の事業拡大を支援しているほか、足利銀行では、子会社である地域商社「コレトチ」を通じ、地域の魅力ある商品等の発掘・開発に取り組むなど、地域産業の掘り起こしと新事業創出支援を行っています。
『めぶき食の商談会』
食関連事業者の販路拡大、食材調達、参加者間の相互交流などを目的に「めぶき食の商談会」を開催しています。
農業生産者、食品加工・卸業者、小売業者、外食業者など幅広い食関連事業者に、商品PRおよび個別商談の場として、活用いただいております。
『地方銀行フードセレクション』
全国の地方銀行と共同で、地域の食品・食材を広く市場に流通させることを目的とした“食”に関する商談会「地方銀行フードセレクション」を開催しています。
展示商談会形式によってバイヤーに食品の味や魅力を、直接訴求できるマッチング機会を提供しています。
『株式会社コレトチ(地域商社)による地域産品の販売事例』
株式会社コレトチでは、地域の魅力ある産品やサービスの発掘・開発および販路の開拓に取り組んでいます。新しい地域の魅力を創出し、広くPR・発信することで、地域産業の活性化に貢献できるよう努めています。
【販路開拓事例】
鬼怒川温泉を中心としたご当地銘菓「きぬの清流」をコンビニ「ナチュラルローソン」での店舗販売に繋げました。小豆餡ととちおとめ餡の2種類の期間限定販売後、好評を受け、第2弾として栗餡・ブルーベリー餡の販売も実現しました。
『ものづくり企業フォーラム』
パネル展示商談会や予約商談会を通して、新たな取引先の創出につながる商談の機会を提供しています。
事前に参加エントリー企業と連携して作成する技術提案書(企業の特長的な技術や製品をまとめた冊子)を活用し、商談会をより効果的なものとしています。
『めぶきビジネスアワード』
地域の革新的・創造的な事業プランを募集・表彰する「めぶきビジネスアワード」を開催しています。
受賞プランの事業化へ向け、技術提案や販路拡大支援に加え、ファンドを活用した金融面での支援などさまざまなサポートを実施しています。
人材に関するニーズへのワンストップ対応
人材の確保や適切な人材ポートフォリオ構築等が重要な経営課題となっている現状を踏まえ、人材紹介をはじめとした各種人材に関するニーズへのコンサルティング機能強化に取り組んでいます。伴走型企業支援(個社別コンサルティング)と連動し、お客さまと共有した経営課題を基に、「経営幹部」、「管理者層」、「専門人材」といった求人ニーズの明確化を図り、人材の採用・育成・定着・退職といった各ステージでお客さまが必要とするソリューションをワンストップで提供しています。
人材紹介サービス 成約件数・役務利益(銀行合算)
人材関連ソリューションマップ
脱炭素化支援
当社グループでは、お客さまの脱炭素化支援を強化するため、さまざまなサービスの拡充・提供を行っています。
常陽銀行および足利銀行では、GHG排出量削減に寄与する省エネ設備導入にあたってのファイナンス支援や、カーボンクレジットの活用などの具体的な削減施策の提供だけでなく、脱炭素化の取り組みに際して最初に必要となる「排出量の可視化」「削減目標・計画の策定」から支援することで、脱炭素経営に関する包括的なサポートを行っています。
脱炭素化に取り組むお客さまに対する導入から情報開示までの各フェーズの支援策
脱炭素支援体制の強化(「脱炭素アドバイザー」「サステナ支援チーム」の設置)
足利銀行では、お客さまの脱炭素・カーボンニュートラル対応に関する取り組み強化のため、各営業店には推進担当者として「脱炭素アドバイザー」を、本部内に「サステナ支援チーム」を設置しています。
公的支援制度申請に関するコンサルティング
新型コロナウイルス感染症の影響により需要や売上の低迷に悩む中小企業等のお客さまに対して、お客さまとともに強みや弱みの分析、事業計画の策定に取り組み、事業再構築補助金等を活用し、アフターコロナを見据えた業態・業種転換、新分野展開や事業再編の伴走支援をしています。
また、中小企業等の生産性向上等を目的とした設備投資を支援する「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」の申請サポートも行っています。加えて、先端設備等導入計画や経営力向上計画などの税制優遇策の活用においても、2023年度40件の申請サポートを行うなど、事業者さまの設備投資をご融資はもちろんのこと、公的支援制度も活用しコンサルティングを展開しています。
事業再構築補助金の採択件数(2021年~)
(単位:件)
1次 | 2次 | 3次 | 4次 | 5次 | 6次 | 7次 | 8次 | 9次 | 10次 | 11次 | 累計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
採択件数 (銀行合算) |
73 | 53 | 91 | 83 | 106 | 78 | 75 | 73 | 45 | 64 | 24 | 765 |
ものづくり補助金の採択件数(2022年~)
(単位:件)
13次 | 14次 | 15次 | 16次 | 17次 | 累計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
採択件数 (銀行合算) |
9 | 13 | 29 | 30 | 1 | 82 |
DX支援
<問題解決プラットフォーム「ビジクル」を活用したDX提案>
常陽銀行では、問題解決プラットフォーム「ビジクル」(株式会社BusinessTech提供)を提供元のサービス黎明期から共同で開発・推進し、DX支援ツールの中核として活用しています。2022年10月には「ビジクル診断」機能を導入。営業店の行員が中小企業の経営者と一緒に診断を実施し、最も解決優先度の高い課題から順に、有効なITソリューションや対話資料をレコメンドします。
「ビジクル診断」はこれまでに6,000件実施。銀行側では蓄積された診断データから事業規模・業種別の傾向を集約し、地域全体の課題把握にも役立てています。
<「DX推進プロジェクトチーム」の立ち上げ>
足利銀行では、お客さまに対するDX推進をおこなうため、Webサイト等制作会社であるカテル株式会社※とともに「DX推進プロジェクトチーム」を立ち上げました。
カテル株式会社は、大手企業に対するWebコンテンツ制作等によって事業を拡大している一方、栃木県を中心とした地域の中堅・中小企業に対し、ICTを活用したクラウド型の業務システムをオーダーメイドで開発・提供することによって、地域のDX化に取り組んでいます。
足利銀行とカテル株式会社によって構成されるプロジェクトチームにおいて、DX推進に関する具体的な施策の企画、推進、管理を行い、お客さまのDXに応え、地域企業のDX化による営業力強化、生産性向上等に寄与してまいります。
※2023年11月、足利銀行の100%出資子会社である株式会社ウイング・キャピタル・パートナーズが運営するWing1号事業再構築投資事業有限責任組合を通じ、同社の全株式を譲り受けています。
経営改善支援
常陽銀行および足利銀行では、資金繰り支援だけでなく、本部・営業店・外部専門機関・政府系金融機関等と連携して経営改善計画の策定や財務内容改善に対するアドバイスや支援など、お取引先の状況に合わせた伴走支援に取り組んでいます。
策定した経営改善計画の進捗状況は適宜フォローし、お取引先の経営改善に向けた息の長い経営改善支援を展開しています。
経営改善計画策定先数(銀行合算)
海外進出支援への取り組み
当社グループでは、海外進出に関するセミナー開催をはじめ、両子銀行の海外駐在員事務所、海外提携金融機関、国内外の関係機関や業務提携先などを活用し、現地情報の提供、現地視察、海外販路の開拓、貿易取引など、お客さまの海外進出や海外展開等のニーズに応じたきめ細やかなサポートを行っています。
主な支援内容
現地情報の提供・調査 |
|
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提携銀行の活用 |
|
提携先・専門機関の紹介 |
|
資金調達支援 |
|
その他支援 |
|
【めぶきフィナンシャルグループの海外ネットワーク】
海外進出している当社グループの取引先の80%強を占めている、東アジア・東南アジアを中心にネットワークの強化を進めています。これらのほか、日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)と連携して、お客さまの海外展開を支援しています。
国・地域 | 主な提携先 |
---|---|
中国 | 中国銀行 |
交通銀行 | |
台湾 | 中国信託商業銀行 |
タイ | カシコン銀行 |
バンコック銀行 | |
インドネシア | バンクネガラインドネシア |
CIMBニアガ銀行 | |
ベトナム | ヴィエティンバンク |
ベトコム銀行 | |
ベトナム外国投資庁 | |
フィリピン | バンコ・デ・オロ・ユニバンク |
メトロポリタン銀行 | |
インド | インドステイト銀行 |
メキシコ | バナメックス |
アグアスカリエンテス州政府、ハリスコ州政府ほか |
食関連事業者の販路開拓支援~いばらき大商談会(台湾)~
常陽銀行と茨城県が主催し、台湾と本県の企業が互いの輸出拡大や観光誘客に向けて商談する「いばらき大商談会」を開催し、台湾への販路拡大支援に取り組みました。
参加事業者が、直接、現地バイヤーや消費者から「生の声」を収集し、今後の活動に繋げていく機会の提供をコンセプトに、食品事業者25社(銀行募集)、観光事業者8社(県募集)、オンライン11社(県募集)が参加しました。
いばらき大商談会の様子
バンクネガラインドネシアとの覚書締結~海外事業において両行が協力することについて合意~
足利銀行は、お客さまの海外進出を支援するため、インドネシアの国有銀行であるバンクネガラインドネシア※と海外事業における両行の協力に係る合意覚書を締結しました。
東アジアおよび東南アジアを、海外事業における重点エリアと位置付けています。合意を機に、両行のリソース・ノウハウを結集することで、インドネシアにおけるお客さまの現地法人の設立・事業拡大の支援や円滑な資金供給等にとどまらず、お客さまの海外事業に対し、より総合的なコンサルティングの提供を目指していきます。
※バンクネガラインドネシア(英文名:PT. Bank Negara Indonesia (Persero) Tbk)はインドネシア政府60%出資の商業銀行
バンクネガラインドネシアと足利銀行の覚書締結式の様子
事業承継コンサルティング
事業承継・M&A
当社グループは、取引先企業にとって大きな転換期となる事業承継・M&Aを重要な伴走支援であると位置付け、計画的な後継者の育成や自社株の移転、分散株式の集約など、後継者に円滑に事業を継承できるようサポートしています。また、外部専門機関等と連携したM&Aなどの第三者承継のサポートや、グループ内の投資専門会社である株式会社常陽キャピタルパートナーズや株式会社ウイング・キャピタル・パートナーズが運営するファンドにより一旦全株式を保有することも可能であり、お客さまの状況・ニーズに合わせたご支援を行っています。
(単位:社)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
事業承継支援先数 (銀行合算) |
1,869 | 2,310 | 1,774 | 2,254 | 2,331 |
M&A支援先数 (銀行合算) |
701 | 997 | 1,210 | 698 | 809 |
地域金融機関と連携した包括的な支援
<いばらき地域金融M&Aアライアンス>
常陽銀行は、当行を含む県内を地盤とする5つの金融機関共同で「いばらき地域金融M&Aアライアンス」を立ち上げました。
本アライアンスは今後ますます深刻化する事業承継問題に対して、県内5つの金融機関が連携することで円滑な事業承継を実現し、地域の雇用維持と企業の持続的成長の促進、ひいては地域経済の活性化に寄与することを目的としています。
アライアンスの概要
名称 | 「いばらき地域金融M&Aアライアンス」 |
---|---|
発足日 | 2024年3月1日 |
目的 | 本参加金融機関が連携し、地域のお客さまの事業承継に関する課題の解決を支援する。 |
実施内容 |
|
参加金融機関 |
※金融機関コード順 |
アライアンスの連携イメージ
地域とのパートナーシップを生かした支援
地方公共団体との連携
常陽銀行および足利銀行は、「①地元企業の成長力強化」、「②新産業・成長産業の開拓・支援」、「③企業誘致・定着促進」等を目指し、多くの地方公共団体との連携協定を締結し、地域創生に向け連携して取り組んでいます。
また、移住・定住の促進に向けて、地方公共団体と連携した定住応援住宅ローンの取り扱いをしています。
<主な取り組み>
- 自治体DX支援・・・・・・・・DX推進計画策定支援、庁内業務改革支援
- ゼロカーボン取組み支援・・・脱炭素包括連携協定、脱炭素先行地域の申請支援、コーポレートPPA、J-クレジット活用
- PFI事業
- 公有財産活用支援・・・・・・廃校の利活用に向けた各種支援 等
企業誘致への取り組み
茨城県・栃木県は、首都圏に隣接し、鉄道や高速道路などの高速交通網が整備されており、工場立地件数および立地面積、県外企業立地件数は全国上位となっています。従業員の通勤、物流の面でも利便性が高く、企業にとって魅力的な環境です。新たな企業進出は、地元の雇用創出や地元企業の需要拡大につながり、地域経済を活性化させる効果が期待できます。
茨城県は過去10年間の企業誘致面積、県外企業の立地件数ともに全国で上位の実績を誇り、企業誘致に熱心に取り組んでいます。常陽銀行では、茨城県や市町村と連携して企業誘致に取り組むため、コンサルティング営業部内に企業誘致を専門に扱うブリッジ営業チームを設置しています。
工場や物流施設などサプライチェーンにかかわる情報収集・提供や立地適地の紹介などを行っているほか、人材確保支援や地元での取引先紹介、従業員の住居確保など、県内進出に伴う諸課題に対する各種相談にも対応しています。
足利銀行では、栃木県内への企業誘致の推進と立地企業の定着促進を目的とした「とちぎ企業立地推進戦略会議」に構成メンバーとして参加しています。県外のお取引先へ産業団地紹介などの情報提供を行い、興味を持っていただいたお取引先に対して、地方公共団体の担当者とともに帯同訪問するなど、自治体と連携した積極的な取り組みを行っています。また、栃木県が毎年東京と大阪で開催する「とちぎ企業立地・魅力発信セミナー」では、ブース出展やセミナー参加企業の集客などに協力しています。
(出典)経済産業省 工場立地動向調査
「りょうもう地域活性化パートナーシップ」
<連携協定の概要>
足利銀行と群馬銀行における、両毛地区(栃木県南西部・群馬県南東部)を中心とした、両行の重複営業エリアでの産業活性化・課題解決、お客さまサービスの向上を目的とした枠組みです。
名称 | 「りょうもう地域活性化パートナーシップ」 正式名称:地域の産業活性化・課題解決、お客さまサービスの向上にかかる連携協定 |
---|---|
連携金融機関 | 足利銀行 群馬銀行 |
連携地域 | 両毛地区を中心とする両行の重複営業エリア |
連携事項 | (1)地域の産業活性化・課題解決に向けた取組み (2)お客さまサービスの向上に向けた取組み (3)その他、両行が同意する事項 |
締結日 | 2022年1月 |
<連携協定の背景>
両毛地区は、産業面で自動車関連産業が集積するなど豊かな経済圏が形成され、足利銀行・群馬銀行の主要かつ重要な営業エリアとなっています。自動車関連産業でのカーボンニュートラルに向けたEV化対応などが急務となり、地域のお客さまはこれまでにない劇的な環境変化のなかにあります。
両行は、適切な競争関係の維持を前提としつつも、互いのノウハウを共有し、協力・協業することで、地域の産業活性化・課題解決に、より大きく貢献したいという共通の思いを持っております。この連携協定が両行の企業価値向上と持続的成長に資すると判断し、本連携協定を締結することといたしました。
<主な取り組み>
- 「ASEAN自動車セミナー」の開催
- 北関東3行(足利、群馬、常陽)による「北関東PPP/PFIセミナー」の開催、「PFI施設見学会」の開催
- 両行の投資専門子会社による共同出資 など
両毛地区
グループの強みを活用した新事業領域の開拓
新事業領域は、地域やお客さまの課題解決に向けて、従来のサービスではできなかった分野について、グループの強みや外部との連携を活用して、新たな事業として取り組んでいくものです。
伝統的銀行領域をベースに、総合金融サービスの幅を広げ、新たな領域へと挑戦し、地域の課題を金融・非金融の両面から解決することにより、地域社会の持続的成長と当社グループの企業価値向上との両立を目指していきます。
新事業の考え方
グループの強みを活用した新しい事業領域・顧客の開拓
常陽グリーンエナジー株式会社(2022年7月設立)
常陽銀行は、再生可能エネルギー電源の取得・発電やその派生事業を通じ、地域のカーボンニュートラルに貢献することを目的に常陽グリーンエナジー株式会社を設立しました。
再生可能エネルギー電源の取得を進め、一般家庭2,100世帯の電力に相当する約7MWの太陽光発電施設を取得しました(2024年3月末)。
また、追加性のある再生可能エネルギー普及への取り組みとして、2023年9月に提携EPC事業者(設計・資材調達・建設等の工程を一括で請負う事業者)および丸紅新電力株式会社とのオフサイトPPAにかかる協業を開始したほか、2024年1月には、オンサイトPPA契約を日本物流開発株式会社と締結するなど、再生可能エネルギーの地産地消に向けた取り組みを進めています。
再生可能エネルギー電源取得・発電事業
オフサイトPPA事業(2023年9月開始)
オンサイトPPA事業(2024年1月開始)
太陽光発電設備の約7MWの取得(2024年3月現在)
※投資先の一例
派生事業
カーボンオフセットに関する取り組み
- J-クレジット購入選択権付私募債の取り組みにより、「第3回地方創生SDGs金融表彰」を受賞
- 地域のJ-クレジット創出支援に向け、株式会社バイウィルと業務提携
株式会社コレトチ(2022年8月設立)
足利銀行は、地域の優れた商品・製品・サービスの販売事業による事業者への本業支援を通じた地域経済活性化を目的に株式会社コレトチを設立しました。目的達成に向け地域企業と協業するため、株式会社下野新聞社、鈴木印刷株式会社、カテル株式会社の3社との共同出資としました。
2023年8月より、再生可能エネルギーの地産地消を進め、地域におけるカーボンニュートラルに向けた取組みを支援するため、電力事業に参入しました。
<主な事業内容>
- 地域産品の販売事業、新商品開発支援事業
- 再生可能エネルギー事業
- EC運営事業
- その他、上記内容に付帯または関連する事業 等
戦略的投資・事業連携による事業領域拡大
スタートアップ企業への戦略的投資
事業領域の拡大に向けた協業検討等を目的に、投資専門子会社(常陽キャピタルパートナーズおよびウイング・キャピタル・パートナーズ)が運営するファンドを通じて、スタートアップ向けの投資に取り組んでいます。
出資実績
出資先との協業実績
(2022年5月投資実行) |
家族信託の領域に強みを有するトリニティ・テクノロジー株式会社と連携し、おひとりさま高齢者のお客さまを対象に、任意後見・見守り・財産管理等をサポートするサービスの紹介を開始しました。 |
(2023年11月投資実行) |
システム開発力やデジタル技術を有するカテル株式会社と連携し、地域のお客さまの営業力強化・生産性向上など、DX推進・ICT化の取り組みを開始しました。 |
(2024年2月投資実行) |
お客さまが保有する太陽光発電設備の安定稼働に向けた実証実験による連携を行ってきました。出資を通じて地域のカーボンニュートラルの実現に向けた協業に取り組んでまいります。 |
スタートアップ協創プログラム2023
スタートアップ等を対象に、当社グループが取り組みを検討するテーマに沿って事業アイデアや協業パートナーを募り、新たな事業を創出するオープンイノベーションへの取り組みを2022年度から開始しています。
2023年度は「福利厚生・健康経営」、「空き家対策」をテーマに募集した結果、44先からエントリーを頂き、協業候補先として5先を選定し、新たな事業・サービスの創出に向けた実証実験等を開始しています。
協業候補先
事業領域拡大に向けた人材育成の取り組み
新事業創出研修プログラム
事業領域拡大を担う人材の育成や事業開発に取り組む事業者さまとの対話力向上等に向け、新事業創出に係る研修プログラムを開催しました。
プログラム開催風景
従業員参加型の事業アイデアコンテスト
研修プログラムに加え、両子銀行の従業員を対象とした事業アイデアコンテストを開催しました。
従業員から応募されたアイデアについて各行で審査を行い、地元企業と消費者をつなぐアイデア共創プラットフォームや地域内スタートアップの成長支援、広告事業、耕作放棄地解消に向けたアグリ事業などのアイデアについて、事業化に向けた検討を継続することといたしました。検討継続アイデアについては、発案者の登用を通じた事業プランの具体化や実証実験等を実施していく予定です。
コンテスト開催風景
次世代を担う人材育成支援
金融リテラシー向上に向けた取り組み
常陽銀行と足利銀行では、地域の持続的成長に貢献するために、小・中・高校生、大学生から社会人、退職者層に至るまで世代を問わず、金融教育に取り組んでいます。
次世代向けに、各種学校に対する金融教育に取り組んでいるほか、成人年齢引き下げに伴い、お金やカード、金融商品について学ぶ動画を作成し、教育現場でご活用いただいています。また、足利銀行では、「エコノミクス甲子園栃木大会」を開催し、金融経済分野の勉強をする機会の提供をしています。
社会人向けには、お取引先企業における無料の金融セミナーの開催や地公体、企業の総務担当者向けに資産形成セミナーを開催しています。
高校生向け出前授業
子どもたちの自立する力の育成支援(金融教育支援)
小中学生対象に、お金の大切さや銀行の役割が学べる「金融教室」を開催しているほか、高校生や大学生を対象に金融経済の仕組みや具体的な金融知識の習得を目的とした「金融教育講座」と提供しています。
講座では、成年年齢が引き下げられたことによる契約のトラブルや多重債務に陥らないための注意点、ライフプランにあわせたマネープランの作成など、100才までの人生設計や資産形成・管理について、講義やシミュレーションを交えたグループワーク等を実施しています。
金融教室の様子
「エコノミクス甲子園 栃木大会」の開催
足利銀行では、高校生たちが楽しみながら金融経済に触れ、知識を身に付ける機会の提供を目的とし、「全国高校生金融経済クイズ選手権 エコノミクス甲子園」の栃木大会を例年開催しています。
従業員による地域貢献への取り組み
地域との交流を通じた貢献活動
従業員による地域貢献への取り組み
地域の清掃、スポーツ大会、お祭りなどのイベントへの参加、リサイクル資源の回収活動など、ボランティア活動を通じて、地域活動のお手伝いをしています。また、ふるさとの美しく健全な森を次世代に引き継ぐため、植樹活動等を行っています。常陽銀行では茨城県那珂市および筑波山の「常陽ふるさとの森」で間伐や植樹活動を、足利銀行では栃木県矢板市の「あしぎんの森」で、歩道整備や下草刈りなどを行い、緑を守り育てる森づくりに取り組んでいます。
地域イベントに参加 | 地域ボランティア活動 |
植樹活動 | 下草刈りの様子 |
寄付・寄贈を通じた地域貢献
非営利団体への寄付・寄贈(助成金)
株主優待制度「寄付コース」による寄付金の贈呈
株主優待制度の「寄付コース」による寄付金を環境保護団体に贈呈しています。寄付金は、地球環境保全活動、茨城県内の緑化推進および栃木県内の環境保全事業などに役立てられています。
寄贈サービス付私募債を通じた寄附
お客さまが私募債を発行する際に、銀行が受け取る手数料の一部を活用し、お客さまが希望する学校やSDGsに取り組む団体、医療機関に物品等、これまでに2億5千万円を超える寄贈を行っています。
寄贈サービス付私募債発行状況(累計:銀行合算)
ESGファンドを通じた地域のSDGs事業支援
常陽銀行と足利銀行が取り扱う投資信託「グローバルESGバランスファンド」を通じ、委託会社である野村アセットマネジメントが受け取る信託報酬の一部を、企業版ふるさと納税として寄付しています。寄付金は茨城県・栃木県のSDGs関連事業に活用されます。
株主優待制度「寄付コース」による寄付金の贈呈
株主優待制度の「寄付コース」による寄付金を環境保護団体に贈呈しています。寄付金は、地球環境保全活動、茨城県内の緑化推進および栃木県内の環境保全事業などに役立てられています。
地域経済・地域社会のにかかる取り組みの詳細は、ディスクロージャー誌(統合報告書)の33ページから46ページをご参照ください。